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2014/09/23 「猫殿、拙宅にて」・「バンドバンドバンド」感想
今日は二冊読んだので、その感想。
「猫殿、拙宅にて」みお著/B6判/300円
(書名とか著者名ってどういうふうにしたらいいのかよくわからないぜ…)
「ぶれーめん」というサークルさんで購入した本です。webカタログのサンプル見たときから「書き出しが古臭くていいな!」と思ってほしいなあと思っていた本。
表紙がまずしぶい。内容もきっとそれに釣り合ったような渋さなんだろうと思っていましたが、買ってよかったなあと思います。とっても好き。
お話は、老いた小説家の「先生」と、これまた老いた人語を話す「猫殿」の二人暮らしのお話です。「疑似家族」がテーマというか、主軸(同じ意味だなこれ)らしいのだけど、別にそんなの関係なしに(笑)とってもいい。猫殿が語り手だけど、それがまた味のある感じ。猫って、ツンデレのイメージがあるんだけど、なんかちょうど良いんですね。書き手側が猫を飼っているのか、とっても猫が好きなのか、丁寧な筆致にとても好感を持ちました。梨木香歩の「家守綺譚」とか好きな人は好きかも。文章体が。
勝手に、著者さんのツイッター見ていたんですが、森鴎外や中島敦なんかの古き良き時代(?)の作家の名前が出ていたので、そういう奥ゆかしさのある本が好きな人にもお勧めですね。
目立った表現手法や、こだわりの言葉、なんかが出てくるわけじゃあなく、先生と猫殿の穏やかな日常風景がただただ穏やかに続く。秋の夕べにぴったりなお話です。猫殿がほんとにかわいい。そもそも「猫殿」って呼び名がいいですよね。落ち着いたお話を、私も書きたいなあと思いました。
「バンドバンドバンド」霜月みつか著/A5判/オンデマンド/76頁/300円
霜月さんのご本は「雨の日、テトラポッドで。」を持っていて、ツイッターでも少しだけお話したりしていたのもあり、もっとほしいな~と思って今回はこれを購入。三話入った「バンド」にまつわる短編集。
全体的に、とっても瑞々しくて読みやすい。女性の書いた文章はとても好きだな、と改めて思わせてくれます。
夢の武道館ライブを目前に、ずっと付き合っていた彼女と関係がうまくいかなくなる「愛の翳り」、うだつの上がらないバンドマン・宇田川と、彼の時間をお金で買うという中年女性のカエコとの不思議な関係「魔女と白昼夢」、中学生時代から大好きだったバンドのボーカルが死んでしまう「神は死なない」。どれも、音楽やそれに携わる人、愛している人のお話で、純粋に何かを「好き」だと思う気持ちが眩しくて、うずうずする。
私は、「神は死なない」がとっても好きでした。初めてCDを買ったり、ライブに行ったり、握手をしたり、は、自分にも身に覚えがあって、だからこそ鳥肌が立った。自分はただの平凡な人間なんだけど、その音楽を聞くだけで生きていけるし、無敵になれる。
悲しいお話なのかもしれないけど、元気になれました。よかったなあ。もっと早くに買えばよかったです。
お話自体がひねられてるかというとそういうこともなく、すとんと入ってくる。ありきたりなのかもいしれない。だけど、とっても愛がある。愛しさがある。霜月さん自体、ライブに良くいかれているみたいで、実体験とかその目に映る物事が形になってるんだなあ、と、よくわかるお話でした。だからって、浮かされるだけでない文章が良い。
「雨の日~」もしっとりしたお話だけど、私は断然「バンド」の方が好きです。文章自体もとっても上手くなっている(またもエラそうに)。
どのお話も等身大な、平凡な人の(もしくは平凡であった人の)、それぞれの人生が垣間見える感じがして本当によかったです。うん。
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素敵なお話を読むたびに、私が書くことはもうないなあと思う。
プロでもアマでも、これだけかける人がいて、人を楽しませることができるんですよ。すごいことだと思う。
そして、ただ、ただ、自分の好きなものを極めていくことで誰かをこうして、たとえば私を、喜ばせてくれるのだから、それもまた、すごいことだ。
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