忍者ブログ
どこをみているの
2025/02/06  [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2015/05/05  「キキミミオブザ・イヤー」・「蜂蘭・鉄の灰野くん」・「nnmliner」感想
今日もやっぱり感想。世の中GWなんだな。気付くとな。
今回の感想は、ツイッターでお話させていただいている斜線さんの作品を、私の拙作と物々交換という形でいただいた本の感想。なので、値段はわかりません。すいません。あとページ数も省略。

◆「キキミミオブザ・イヤー」文 斜線/絵 F宮一茶/A5判◆
コピー本で、とっても印象的な表紙。絵を描いている方の、いい意味での偏屈さみたいなのを感じました。早速脱線。短い小説が一つと、漫画が一つ。
小説の方は、あらすじ書くとほとんど内容のネタバレになるので差し控えますが、主人公の女性は、自分の右耳を触る癖の持ち主。気付くと耳を触ってしまう。そこから始まるんだけど、ものすごい密室性の高い文章で、とても描写が細かい。ここまで余儀なく描写されてしまうと窮屈にも思えるけれど、描写されていないはずの、女性の、陽の光に輝くうぶ毛なんかを想像してしまうので、描写を細かくしたとしても、読み手の想像が狭まることはないいい例なのかなと思いました。タイトルからもわかるように(たぶんミミとイヤーがかけてあるのか?)「耳」のお話なんだけど、聴覚が目立つお話かと言うとそうでもなくて触覚がとても秀でているようなお話だったと思う。ストーリーは、言い方は失礼ですがあってないようなもので、綿密に描かれる「それそのもの」を楽しむお話だと思います。
漫画の方がすごい空気感で、これもまた、ストーリーはあってないようなものですが、その独特の雰囲気が不思議な気持ちを呼び起こす。

◆「蜂蘭・鉄の灰野くん」斜線著/A5判◆
これもまたコピー本。斜線さんの単著です。
「蜂蘭」は、眉目秀麗・頭脳明晰なんだけど性格に難あり(?)でおまけにプレイボーイの大学生・ユタカくんが、キャンパスで見かけた女の子にひとめぼれ。だけど、唯一といっていいほどの友達で情報通のケンゴに彼女のことを聞いたら「あいつは都市伝説級のヤリマンだ」と言われてしまう。しかも、彼女には秘密があって…という、純文学系かと思いきや以外にもSF?ファンター?要素があり、「キキミミ~」よりはストーリーがあるし目立っていた描写も控えめかもしれない。その魔性の女の「シオリ」ちゃんの秘密のせいもあるんだけど、目の中に宇宙が見えたっていう描写がとても綺麗だと思いました。でも、個人的には「キキミミ~」の方が好きかな。何がというと何とは言えないのですが、斜線さんの文章だとみっちりとしたしつこい描写が美しく思う。
「鉄の灰野くん」は「鉄のハイリンリヒ」のカバー小説だそうで、私バカなので調べてみたら「鉄のハインリヒ」って「かえるの王子様」と同じなんですね。というか存在をしらなかった。かえるの王子様って、なんか悪い魔女に呪いをかけられた王子が、女の子のキスによって魔法が解けるっていう話だと思ってたので、実際、王子が人間に戻ったときにハインリヒという家来が突然現れて「あなたがかえるになったとき悲しくて胸が張り裂けそうだったので胸に鉄のたがを付けましたが、あなたがもとにもどったのでたががいらなくなりました」っていう終わりだとは。
で、今回主人公・灰野くんがおそらくハインリヒ。で、かえるはもちろん出てきます。灰野くんの友達の吉岡くん。元カノの呪いでかえるになってしまって、生態もだんだんかえるになってくる。かえるになって、背中に毒液っぽい粘液がでるあたりがリアルでよかったです。やっぱり描写が素直でいいですね。難しい言葉を使わないで、でも、独特の世界を気付きあげる感じ。
もちろん鉄のハインリヒを読んでいなくてもわかります。私は元の「鉄のハインリヒ」を今回読んでみたのだけど、ハインリヒが現れるところがすごく唐突なんだよね。で、斜線さんのお話の中でそこを新たな解釈で描くのかなと思いつつ、やっぱりちょっと唐突なところがあったので、童話っていうのは鵜呑みにするのはよくないと思い増した。なんていっていいのかわかりませんが。

◆「nnmliner」斜線著/A5判◆
書き忘れていましたもう一本。
コピー本、というよりは本の形をしたサークルペーパーですね。
お話、というほどのでもないけれど、でも読めば斜線さんの文章の綺麗さや気品のわかる短い短いお話が一つ載っています。
静かなもの、ひんやりしたもの、薄闇、など、斜線さんがどんなものをどんな目で見ているのか、愛おしさとか憤りとか、そういうものがひりりと伝わってくる感じがして、これも好きです。
はい、これでちゃんと三冊だ!
****

人の書くものって、どうしてこうも刺激的なのかな。

拍手

PR

<<ぶらさがる午後HOME「ファミリーパズル」感想>>