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2015/03/08 「あの日の僕らにさよなら」「友情」感想
◆「あの日の僕らにさよなら」/平山瑞穂/新潮文庫◆
あらすじ:桜川衛と都築祥子。共に17歳。互いに好意を抱きつつも、一歩踏み出せずにいた。ある夜、家族不在の桜川家を訪ねた祥子は偶然、衛の日記を目にする。綴られる愛情の重さにたじろいだ祥子。何も告げず逃げ帰り、その後一方的に衛を避け続け二人の関係は自然消滅に…。あれから11年。再会を果たした二人が出した答えとは―。―アマゾンより
これ読んだときに「うへ、なんかちょっと身に覚えが!」ってなりました。なんというか、桜川くんが、数年前に付き合っていた男の人に似てるっていか、似てるっていうとなんか失礼なんだけど、色々と、自分の中でこねくり回して人のことを拡大解釈(?)しちゃうところとか、根暗っぽいところとか、人のことを自分なりに分析して人のことを分かった気になるところとか、なんだろうなあ、間違ってないんだけど。桜川くんは勝手に祥子ちゃんが自分を好きなんじゃないかって思ってしまって、それを日記につけている。中々日記に心情吐露する17歳男子っているのかな?まあ変に頭よくてひねくれてたらするか。祥子ちゃんはそれを目にしてびっくりする。なんかほんとにわかるっていうか、祥子ちゃんは桜川くんに居心地の良さを感じてはいるものの、それが恋愛といわれるとたぶん違う、って、答えるだろうなって感じ。だと思います。変に気取ってなくて格好良くもなくて博識で、自分だけに見せてくれる桜川くんに、祥子ちゃんはある種の独占欲を感じてるとは思うんだけど、それは自分だけが抱いて良い感情であって、桜川くんは抱いてはいけない、ので、いざ彼が自分のことをそういう気持ちをもってみていたって思ったからかなり引いたんじゃないかと思った。つうか私がそうなだけか。なにこれ、自爆?
で、とにもかくにも、祥子ちゃんは男運が悪い。つまりだめんずうぉーかーなんだけど、でも、そのだめんずっていうのも中途半端なんだけど、それがまただめんずっぽい。高校生のパートは大体1/3ぐらいかな?序盤なので、こっから話が動き出すけど、しかし男運がない。一方桜川くんは社会人になってイケメンヤリチンになってしまう。んですね。祥子ちゃんへのコンプレックスかね(適当)。
で、ふとしたきっかけで桜川くんは祥子ちゃんの消息を追って再会することになる。
なんというか、全部ドラマ仕立てっていうのか、映像化しやすそうっていうのが読んで最初の感想でした。手頃な物語っていう感じ、で、最初名前だけ見たときに著者は女性かと思ったけれども、内容読んでてこれ男なんじゃねえかと思ったら案の定男性でした。すべて、こちらの想像の余地なく語りつくされていて、だからすごくお膳立てされた綺麗なお話っていう感じです。好きかと言われるとそうでもないし、嫌いかと言われてもそこまでっていう感じ。
しかし、本当に祥子ちゃん男運がなく、最後にオーストリア人のダメ男につかまってしまう。で、そのダメ男の前評判が「あいつは危ない」云々で、てっきり私はものすっごい性虐待でも受けるのかと思ったらなんかちょっと違って、なんかそこも拍子抜けでした。たぶんこれは「その女アレックス」読んだ後だったからだと思う。きっと。読んでて、作者さん、結構優しい人なんだなと思いました。
◆「友情」/武者小路実篤/新潮文庫◆
あらすじ:脚本家野島と、新進作家の大宮は、厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、大宮に心惹かれる杉子は野島の愛を拒否し、パリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓う――青春時代における友情と恋愛との相克をきめこまかく描き、時代を超えて読みつがれる武者小路文学の代表作。―アマゾンより
もうね、本当にこのあらすじの通りです。というかあらすじ全部書いていいわけ?え?と思いつつアマゾンから引用すると決めているので(面倒なだけ)。こんな有名なのはみんな読んだことあるかもしれんですね。実は私、最近読んだけど二度目。一回目は大学の授業の関係で読みました。その時は大宮カッコいいな!え!と思ったけど、今回はみんな自分勝手だなほんと、と思いました。恋愛って本当に、自分が幸せになるためのものなのだろうかと思う。よくわからんです。私の恋愛観っていうか、そんなものが育むほど恋愛ってものをしてきたことがないから、なんつうかわかんないんだけど、みんなが自分勝手で愚かに成り下がってしまうというのなら、そんなものこの世から消えろと思うが、しかし、それがあるからこそみんな生き生きしてるんだろうなあっていうか。友達と「友情」の感想を話していたときに、夏目漱石の「こころ」と同じ構図だねなんて話していたんだけど。ただ、この「友情」は「友情」って名前がついている通り、私はあくまで「友情」がメインだと思う。野島は杉子を好きになって、大宮に相談するけど、実は大宮も杉子のことが好きで、でも、そのことをおくびにも出さない。それに引け目を感じこそすれ、野島へのことを考えてなんと海外へも飛んでしまう。最後の最後で野島を裏切るようなことになってしまうけれど、ちゃんと、大宮なりにけじめをつけていて、野島もそれを受け入れていて、そこにはやっぱり大宮と杉子の間の愛情よりも、大宮と野島の友情が確固として存在しているのと感じた。なんとなく、私の中で「こころ」はKと先生の張り合いに御嬢さんが道具として登場してきた感じが否めなかったので、やっぱり同じ構図でも(まあ書きたいことも違ったとしても)、作者によるのなあと思った。し、武者小路はきっとすごくいい人だ。真面目で。
***
そんな感じです。今は志賀直哉の短編集を読んでいるのでまた感想書きます。
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