どこをみているの
2025/02/07 [PR]
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2013/06/21 とおいむかし
いつのはなしか
わすれましたけど
昨日の夜のような
三年前の朝のような
雨が降っていた日に
その脆弱な雨音の間から
苦し紛れに鳴いたような
猫の鳴き声
人の赤ん坊のようにも聞こえ
君の悪い、鳴き声が
助けよと
わたくしに
助けよと、
心の底から、まるで、
わたくしを苛んでいるような
窓ガラスには大粒のしずくが
ぺかぺかと打ち付ける夜に
ぱつぱつとはじけとぶ朝に
ただひとりきりのわたくし
何もできぬままに
振り子椅子に座って
その鳴き声が脳髄を犯してゆくのでした
わたくしには
なにもできぬし
なにもない
猫の鳴き声はわたくしにその
世界の無常ともいえる
たったひとりの人間の
尊厳ともいえるそんな、じじつ
ただ、
わたくしのてには
そんなひとりきりの
矜持
おお、
すぎさった夜、とおりすぎた朝、
やってくる朝、飲み込む夜
わたくしはこれからさきも
何度となく
幾年となく
てのひらをみつめては
猫の鳴き声を思い出すのでしょう
そのたびに
友の声や
失ったものたち
手には残らなかったものたち
それらを
かなしく回顧するでしょう
さようなら
ありがとう
わたくしの矜持だけはここにあるのであったから
泣き止みなさいな
泣きやみなさい
お前が知るよりは多く
お前が思うよりは深く
人に愛されることもあるだろうから
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