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つばめ綺譚社さんは色々なクリエイター(?)さんがいらっしゃるサークルで、メンバーがどんなものをつくるのかてっとり早くわかるもの、ということでサークル誌を発行しているそう。今回、この第6号が新刊で販売されておりましたので、購入しました。連作の小説が二つと、エッセイが一つ。読みやすかったですね。ただ、やっぱり連作なので前後知ってたらもう少し楽しめたというか、物語に入れたのかなあと思います。買えばよかったな。紺堂さんのお話はまさに「奇譚」という感じかな。どういう仕事か私は前作読んでないのでわかんないのですが「繋ぎ屋」というところで働いている下っ端の「書記」さんの台帳という構成のお話。日記を読んでいるような感じですね。繋ぎ屋のいじわるっぽい店主と、慇懃無礼そうな紳士と、主人公の書記さん。こう、いい意味でいかにもわくわく心をくすぐる感じです。すっごくマイルドな京極夏彦って感じなのかな。「家守綺譚」に通ずるものを感じました。ツイッターでもつぶやいたけど、内容的にはBL漫画の「川果町よろず奇譚」って感じ。エッセイも読みやすかったです。よくある、浮ついて一人で暴走するようなエッセイじゃなくてよかった。私も書きたくなってしまいました。そして伴美砂都さんの「ウーパールーパー」ですが、ちょっと内気っぽい女子高生の日常なお話ですね。「繋ぎ屋」よりは、話自体が純文学っぽいので一話単独でも読みやすかったです。今まで意識していなかった友達と急に仲良くなったり、ぎこちなさとか、淡い恋情への自意識過剰とかそういう、ちりばめられた微妙な感性がよかったと思います。日常、って、まとめてしまうとそうなんだけど、でも、若いころって毎日、多かれ少なかれなんとなくのドラマがあるような気がしてた。なんとなく。だから、彼らにとって日常は日常じゃないなって思いました。なにこれ。伴さんの文章は少女のようです。◆アンノウン/伴美砂都著/A5/200円◆コンピュータの管理会社で派遣社員として働く「僕」は、同僚にひっそりと想いを寄せる。居心地の悪い昼間を足掻きながら、深夜のマシンルームでひっそりと息をしながら。不器用で優しいひょろモヤシボーイの恋とか愛とかの物語。――つばめ綺譚社ブログ「つばめ報」より。こちらは伴さんの単著のコピー本。文章は丁寧でとても素直な方なのだろうという勝手な妄想をしていました。主人公である「僕」も、「僕」が想いを寄せている同僚もどこか欠けた部分があってどこかひっそり、社会から隠れるように生きている。別に、二人が寄り添うからってそこが完全に埋まるとか、直るとかそんなことはないんですよね。だけど、それでも、生きていく。生きて行こうとする。と、まあこんなに壮大でもないんですが、伴さんの筆致は素直なので、最初から最後まで悲惨な部分もあるのに優しい気持ちで読めます。あと、若干、恋愛パートが初々しくて私はちょっと恥ずかしかったな(笑)ストーリーはちゃんとハッピーエンドなので心配せず読めました。これは本当に個人的な好みなんだけど、主人公二人ともけっこうえげつない過去があるというか、記憶があるのですが、そこをもっともっとえげつなく書いてほしくて、そして邂逅みたいなところを、もっと美しくなったらいいな、と勝手に思いました。ほんとに私の好みだな。ちょっと蛇足なのかな、とかいうところもあったりして、まあ私の読みが足りないのが十二分にあるとは思うのですけれどね。なんか久しぶりにハッピーエンドのお話読んだのでなんかほっとした。