どこをみているのことば

2025/02/07　　[PR]

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2013/02/24　　エウロパ

きこえてますか、エウロパ
きみのことは、みえないけれど、エウロパ
うつくしい名前だね
そんなふうに、くるくるまわって踊っているのは
冷たいことばをはくためではないよね

きっときみも、ほんとうは、
魔法の言葉をおぼえるまえは
ないていたにちがいないよ
そうだろう
だからきっと
すこしかなしいその魔法を
ちょっとつめたいそのひとみで
言えるようになってしまったんだろ、エウロパ
それをぼくは、かなしいと、おもってしまう

きみがなにをおもうのは
ぼくには全く、わからなくって
わかったつもりになったつぎにはすぐに、きみはおこるから
ねえ、さっきまで笑っていたじゃないって、エウロパ
きみの名前を、ぼくはよんでもいいのかな

すこしでいいから手を繋ぎたい
そうして、魔法の言葉はすこし、いわないでおこう
そのかわり
きみの瞳やまゆげやほおの赤らみやくちびるのまがりや
ゆびさきやあしおとやそういうものに、ぼくは耳を澄ますから
その言葉は、しまっておこう
悲しい、そんな、都合のいい魔法は、エウロパ、いいだろう

きっとぼくらはむかしは一つの星だった
一緒に生まれて一緒にめぐって一緒に死んだ
すこし軌道が違うだけ
すこし重力が違うだけ
だからねえ、エウロパ

きみを、さがすから、ねえ、ぼくを
さがしてみせて
やさしく、してみせて

2013/01/16　　うぶげ

美しくないと
美しくあらねばならないと
きみの頬の金色のうぶげを撫でていく、
無色の風が歌うように、
わたしは生きることはできなかったけれど。

夜中のまぶしい孤独さえも
わたしのものにはできなかったけれど
きみのようにはなれなかったけれど
それでもいのちをうけとめるだろう。

おやすみ、娘ら。
おはよう、息子ら。
生まれてきたなら美しくあれよ。

2013/01/01　　あたらしくもえて

美しいひとになりたい
美しい朝になりたい
美しい何かに

何が美しいのか
私にはまだわからぬけれど
わからずとも
誰かの決めたなにやらな美しさより
自分の感ずるままの
自分が思うままの

時に悲しく
時に空しく
それでも私は美しく
生きていたい

固まった心でも
醜い思考でも
一心に

探す
生きる

2012/12/09　　せきべつのあいさつ

さようならを言わなくちゃならない
寒くてすべて凍る夜でも
言葉だけは逃がしちゃならない

雪が降るんだといった
君はいつのまにか行方不明
いうだけいってしまうなんて
雪か雨かを見定めなくてよかったの

マグカップ一杯のミルクでかんぱい
あたたかくしておこうね
生姜もいれよう
君のこれからの旅路

さようならを言わなくちゃならない
餞の言葉でもなんでも
気持ちは逃しちゃならない

さあ、いっておいで
美しい場所へ
拙い世界へ

君の、これからへ

2012/12/01　　きぼうのひかりを

いつもえらんでいる
きぼうのひかりのさすほうを
ほんとうはちがう
ほんとうはただしい
そんなことかんけいなしに
だれかのいないほうへ

しらんだてれびにうつるひかり
わたしはながらくみていない
もうすこししたらきっと
いみのあるニュースが
せかいをみたしてくれるはず

いつもえらんでいる
ほんとうにいみのあることを
わたしにみえるかはわからない
だがそれでも
ちちと
ははと
ちぎったおもいを
わすれてはならぬから

でてこないことばをまつより
そこにあるけしきをおぼえたい
おもいだせないあいをつむぐより
かんじたままのひあいをぶつけたい

いつもえらんでいる
あなたとわかりあえるそのみちを

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