どこをみているの
2025/02/06 [PR]
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2013/09/01 壊れる時はあっけなく
「もういい加減にしてよ!」
塚ちゃんが投げたガラスのコップは見事に床に砕けた。私は、彼に叩かれた衝撃で未だ、床にへたり込んで動けないままでいる。頭もすごく冷静で、言葉をいくらか選んでもいるのに、それらはすべて私の涙に変わり、嗚咽となった。自分の涙が、床にポツポツと水滴を残すのを見てまた、涙が出た。
「なんでそういうことばっかり、して、そんなに僕が女じゃないことを、京介に好かれないってこと、見せ付けたいわけ?」
塚ちゃんは泣かない。怒って、悲しくて、憎くても、女みたいにすぐに涙は出ない。涙には頼らない。
「僕にはおっぱいもないし、ちんこを突っ込む穴もないよ。だけど、人を好きになってもいいでしょう。迷惑なんてかけてないじゃない!」
「あぶないよ、塚ちゃ」
みしみしと音を立て、塚ちゃんの膝の下でガラスが潰れた。ジーンズを履いているのでよっぽど大丈夫かもしれないが、今の塚ちゃんには痛々しすぎる気がした。私の忠告なんてなかったみたいに、塚ちゃんはそのまま顔を俯ける。
「……塚ちゃん……膝が」
「かわいい声も、かわいい涙も、僕にはないから羨ましいよ」
感情が押し殺された、静かな言葉だった。
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