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どこをみているの
2025/02/08  [PR]
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2011/12/29  セピア
目に映る景色はまるで映写機で再生する8ミリフィルムのようだった。
だれもがどこかを見つめて揺られる電車の中、僕もだれかと同じようにぼんやり窓の外を見つめていた。
窓の外は暗闇が広がっていて、たまに車のライトや民家の明かり、鉄塔の先端で点滅するランプなんかも見てとれる。
思い出したように浮かぶ白、赤、橙の明かりは、寂しい闇に彩りをそえていった。
ただ、面積の大半を暗闇が占めるので窓は鏡のようになって僕の間抜け顔を映していた。

「江野さん」

信楽さんは、いつもしない真面目な顔をしてみせた。僕が電車に乗り込む少し前だ。
お酒は弱いと言っていた彼はあまり飲んでいなかったのに頬は赤くなっていた。イズミは顔に出ない人だったし、強かったので正反対だと思う。
秋口の涼やかな風に吹かれて、

―――

書けそうで書けなかった。

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