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どこをみているの
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2013/05/03  ゆうやけのドア
ねえ、こんなふうだったよね、と、私は中学生の頃のように不恰好な三つ編みを編んだ。固く結ばれた二本の毛束は、馬の尻尾のようにも、飾り紐のようにも、見えた。
振り向きざま、すぐそこにアキオがいるのに気づくのと同時にばたんと押し倒される。
いい?と、尋ねながらも、彼には待つ姿勢は一切無く、なんの躊躇も無く、ワンピースの裾からするりと手を忍び入れてきた。私はそんな彼に幻滅し、呆れもし、そして、悲しくなり、何も言わないでじっと寝そべったままでいた。
きつく結んだ三つ編みが、私の視界に入ると憂鬱になる。甘酸っぱく、心に染みるようなあの思い出が、もう、怪我されてしまう。
美しい夕焼けに染まる教室で、アキオを待つ私の、美しい三つ編みを思い出すとき、腰をふるアキオの下敷きになる、パサついた三つ編みも同様に思い出されるに違いない。
夕焼けに染まるドアを、息せき切って開けて飛び込んできたアキオを思い出すとき、夕焼けに照らされてより朱く染まるアキオのだらしなく開いた唇も思い出されるに違いない。

汚れてしまったのか、汚してしまったのか、私には全くわからないまま、アキオだけが私の名前を切なげに呼ぶ。

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