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どこをみているの
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2011/03/29  すべりだい
ゆかなが小さい頃大理石だって信じてた白い混合セメントで作られた滑り台は、暗い外灯の中でぼんやり浮いて見える。
十年ぐらい前には、いつも学校から帰ってきてはランドセルを下ろして母親からジュース代をもらうと家を飛び出して友達とこの滑り台で遊んでいた。
けっこうな傾斜で、ほぼ直角にちかく普通の滑り台よりも幅がある、大きな滑り台だ。
友達と四人か五人で手をつないでいっせーの、と声を合わせて一気に滑り降りたり、腹這いになって頭から降りたりもした。
「やべー、やばくね?」
滑り台に登り、傾斜の一番上に腰を下ろした。紗詠子はしきりにゆかなにそう言うが、ゆかなは懐かしそうにぺたぺたと滑り台をさわっている。
「高くね?めっちゃ高いよこれ、滑る自信ないよ」
「はあ?大丈夫だよ、紗詠子は絶叫系大丈夫なんでしょ?私ダメだし」
「いやいやいやこれは無理でしょ、っつーかお前は小さい頃から滑ってんでしょ」
確かにこうして上から傾斜を眺めていると足先から血の気が引くようだ。

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