どこをみているの
2026/07/08 [PR]
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2011/01/04 まっしろな
熱に浮かされている間に
向かいのベッドに寝ていらっしゃった先生がとうとう亡くなられた。
鴎四郎が直接そう私に伝えたわけではなかったのだけど
彼の顔や哀しげな視線、
眩しすぎるほど清潔なベッドが
もはやおぼろげにしか輪郭を捕らえられないこの瞳にも痛い。
不思議と涙は出なかった。
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2010/12/31 マクロファージ
目を閉じて
あたしの声だけ感じて
あたたかな毛布は核膜
二人だけの染色体
静かに細胞分裂
ATCG
君の好きなパズル
アポトーシスなんかしないで
アルビノなんかじゃなくていい
二人だけのコドン
作り上げてく小さな細胞
絡まるDNAを数えるうちに
ほら
小さな宇宙ができあがる
こうしてあたしたちは
何万年をかけて何億年を愛し生まれた
小さな
いのち
2010/12/29 祈りながら生きてきた
トムソンは港で働いている。
タンカーから港に運び込まれる様々な荷物を指定された倉庫に運び込む。
その逆をすることもある。どっちにしろ日雇いに近い給料しかもらえない。
彼は本当は、タンカーに乗って海原を旅したかった。海軍でもよかった。
なのに7つのころに目を病んでから、分厚い眼鏡を欠かすことができなくなって
頭を病んだわけじゃなかったが、勉強ができるわけでもないから
ハイスクールを中退してからこの仕事についた。
何年通ったのかも、あまり満足には数えられなかったりする。
「ストだぜ、スト」
いつも通りの時間に事務さょの横のかびくさく、いつもむき出しのコンクリートが湿っているロッカールーム行くと
ダズもサンベルもユージーンも他にもたくさん仲間がいて、
勤勉で有名なコペックじじいもそこにいた。
熱っぽいざわめきが支配している。
みんな作業着には着替えてはいるのだが、ヘルメットも軍手もしていない。
トムソンが自分がのロッカーからヘルメットをとりだしてかぶろうとすると
ダズがにやにや笑いながら、トムソンのロッカーをばたんとしめた。
もともと凹んでいていびつな形のロッカーの扉はますます不自然な形になってめりこんでいる。
ダズが笑うと口の隙間からアルコールの匂いが漂う。
「ストだぜ、スト」
ロッカールームに入る前に聞いた言葉だと思いながら、めりこんだロッカーを開けようともう一度手を掛ける。
赤い巻き毛のユージーンは、女みたいに濡れた唇でげらげら笑った。
彼の噂はつきない。ホモセクシュアルであるとか男の愛人が複数いるとか、
6番ドックの倉庫番と懇ろで、物品をくすねてもお咎めなしとか。
ダズとサンベルが言うには、トムソンが最近狙われてるとかなんとか。
ユージーンは笑いながらダズとトムソンの間に入ってくる。
「トミー!ストなんだぜ?働かないんだ!」
「……俺は働く」
「バッカ!ストはみんながやるからストなんだよおたんこなす!」
「お前みたいな間抜けがいるから、ベイブにピンハネされんだよ」
ダズもそう言って笑う。
もちろん、トムソンも彼らのボスであるベイブ―子豚に見えるからそう呼ばれている―が
本来の基準に従わないで、極端に低い賃金しか払っていないこともしっている。
最近、ベイブのベンツのクラスが上がったと誰かが言っていた。
だからといって、いくらピンハネされてるといっても、
トムソンにはそれしかない。金がいる。金がなくては何も出来ない。痛いほどわかってるつもりだ。
困ってコペックじじいに視線をやったのだが、じじいの瞳は長くのびた眉毛にかくれて全く見えない。
しかしどうやらトムソンのきもちは伝わったらしく、息を吸う音がするとともにじじいは口を開いた。
2010/12/28 ジェンガ
生まれたときの記憶が
僕にあったなら
君にはもう少し本当のことを話せたかな
見透かすようなその瞳に
怯えないでも済んだかな
本当のことなんて言ったことはない
だから君はそういう目をするんだね
そしてたぶん
その目は本当のことなんて見えない
僕だって本当のことは見えない
本当のことなんか
何もないんだろ
最初から何もないんだろ
僕にも君にも何もないんだろ
生まれてこなきゃよかった
2010/12/26 CCCC
高見沢はるかの目は青み掛かったグレーだと知ったのは一度目のキスをしたとき。
彼女がさみしがりだと知ったのは二度目のキスをしたとき。
そして俺は彼女が好きだと気付いたのが三度目のキスをしようてしている今。
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