忍者ブログ
どこをみているの
2026/07/01  [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2011/03/31  Prayback
珍しく彼がへらへら笑う。
大して重要じゃないんだってことを言いたいってことは、たぶん、ばかじゃなかったらわかってる。
こんな、いかにも、な、空気。
それを自分が作っちゃってることも、彼はわかってる。
「なんであのとき、あたし、あんたの傍に、いなかったんだろうって後悔してる」
「今はあのときじゃないよ」
「わかってるよ」
「じゃあ今言っても仕方ないよ」
ベッドの下で寝返りをうつ音がする。私も寝返りをうって背中をむけた。
床にしいた布団は寒くないか、背中は痛くないか、を聞きそびれてしまったけど、もう気まずい。
彼が鼻をすする。
鼻風邪か花粉かハウスダストか。とにかく涙じゃなければあたしはそれでいい。
「昼に干したときによく払ったけど」
半分布団にもぐったまま言ったから何を言っているのかわからないだろうと思ったけど、彼の答えははっきりと帰ってきた。
「大丈夫、寝るときいつもこうだから」
「うん」
「ゆきな」
布団から耳を出す。ひやりと冷えた空気の音まで聞こえるような気になってくる。
「今更こんな話してごめん」
ずっと鼻をすする音。
「あたしもそのとき聞いてあげられたらよかったね」
「無理だよ、出会ってないもん」
「でも」
寝返りをうって彼の方を見た。彼も寝返りをうったようだった。
ベッドの高さで彼の顔はわからなかったけどごそごそ動く様子はわかった。
暗闇に慣れた目に、オレンジ色の豆電球がまぶしくうつる。
「今聞けてよかったよ。聞かないよりは…それにやっぱり話したかったんだと、思う、思わせて。私だけは、味方でいさせて」
彼は鼻をすすって黙っていた。

拍手

PR

2011/03/29  すべりだい
ゆかなが小さい頃大理石だって信じてた白い混合セメントで作られた滑り台は、暗い外灯の中でぼんやり浮いて見える。
十年ぐらい前には、いつも学校から帰ってきてはランドセルを下ろして母親からジュース代をもらうと家を飛び出して友達とこの滑り台で遊んでいた。
けっこうな傾斜で、ほぼ直角にちかく普通の滑り台よりも幅がある、大きな滑り台だ。
友達と四人か五人で手をつないでいっせーの、と声を合わせて一気に滑り降りたり、腹這いになって頭から降りたりもした。
「やべー、やばくね?」
滑り台に登り、傾斜の一番上に腰を下ろした。紗詠子はしきりにゆかなにそう言うが、ゆかなは懐かしそうにぺたぺたと滑り台をさわっている。
「高くね?めっちゃ高いよこれ、滑る自信ないよ」
「はあ?大丈夫だよ、紗詠子は絶叫系大丈夫なんでしょ?私ダメだし」
「いやいやいやこれは無理でしょ、っつーかお前は小さい頃から滑ってんでしょ」
確かにこうして上から傾斜を眺めていると足先から血の気が引くようだ。

拍手


2011/03/24  TOH
あったかい布団に抱かれて
あったかいヌイグルミ見守られて
あったかいパジャマを纏って
あったかい灯りを消して
あったかい夢を夢見て

そんな君の冷たい指は
あったかい言葉を紡ごうとして
また一つ絶望にかじりついている

まるでスナック菓子みたいに
無機質なそれを君はかじりむさぼり
温度なんかわからなくなっていく

拍手


2011/03/21  マッサージ
足がたるい、とつぶやいただけで特に期待も何もなかったのに洗い物を終えたハルが俺の足元に座り、何気なくマッサージを始めた。
「わ、いいよ別に」
「遠慮しない」
彼の手は、たぶん男にしてみたら小さいほうだろう。細い指と少し湿った皮膚が足に吸いつくようだ。
ぎゅうぎゅうと足の裏を指圧したり足首を揉んだりふくらはぎをにぎったり、
決してうまいわけではなかったが甲斐甲斐しくマッサージをしてくれる。
片足が終わるともう片足。
ベッドに座ったまま足の間で俺の足をもつ彼を見つめていると少しムラムラする。
肩につくほどはないが邪魔なのだろう、束ねている髪の毛が少し顔にほつれていた。
ほとんど化粧をしていない彼はもちろん見慣れた横顔で俺の足を揉んでくれている。
この歳の男にしては肌は綺麗だし、そもそもハルはやっぱり美人だと思う。
じっと見つめていたからか、ハルは手を止めてこちらを見た。
少しだけ頬が赤い。
そばにあったリモコンで、空回り気味だったテレビを消す。とたんにくる静けさ。
思い出すようにうなる冷蔵庫。下の駐車場に誰かの車が帰ってきた音。時計の秒針。
ハルの頬に指を這わせると彼は自分の指を絡ませて唇に誘導する。
任せたままにしていると、ゆっくりと俺の指に舌を這わせてきた。しっとりと指先が湿る。
「…ちょっと興奮してたんだ」
「イズミ、半分たってるし」
彼はクスリと笑ったのかニヤリと不適に微笑んだのかわからなかったが
声がかすかに震えていたのでハルも興奮しているんだとわかる。
彼の顔を引き寄せてキスをした。
===

ハルのお色気は本編終わってからにするんだ…!←

拍手


2011/03/19  テンダミ
このさびしさ
君にさずけたし

このせつなさ
君に与えたし

この愛しさ
君に奪われし

あゝどうか

君の眠りを妨げぬよう

拍手


<<前のページ次のページ>>